便の色とその要因。

「あなたの便は何色ですか?」
というアンケートに、
男性100人、女性100人の会社員が
答えている結果があります。

結果は以下の通りです。


『あなたの便は何色ですか?』
(20代、30代、40代、50代の各世代
男女各25名ずつ、計200名を調査)

黄褐色 15%
茶褐色 77%
暗褐色 8%

(インターネット調査会社アイブリッジ2015年10月実施)


では実際に、どんな便が理想的なのか??

それは・・

バナナのような大きさで、形で、黄褐色です!!

若ければ若いほど、腸内も健康です。

新陳代謝もよいので、
バナナのようなフォルムで美しい曲線の
健康的な便が出ます。

ところが。

年齢を重ねるにしたがって
脂肪分の多いフレンチやイタリアンを食べ
日常的にアルコールを摂取して
さらにストレスにさらされて
ドンドン美しい便とは無縁となっていきます。

バナナのような黄褐色の便が出ると
恐らくキレもよくて、水洗いしなくても
トイレットペーパーで拭いても
ほとんどティッシュに便がつくことは
少ないはずです。

それをまずは、便の理想形としてください。

その便こそが健康の証となりますので
そのときの食事をよく確認すると良いですね。

同じようなものを食べることを
心がけていく維持していくことで
腸内環境を健康に保つことが可能になるはずです。

 

食べてから便になるまで

 

食べ物は、口、食道、胃、
十二指腸、小腸、大腸と下っていき
肛門から外界へ出るしくみです。

この プロセスの中で
十二指腸であ、肝臓から分泌される胆汁が
混ざっていきます。
その中にあるビリルビンという色素が
便に色付けをしていきます。

また腸内に便が長く滞留することでも
便の色は変化をしていきます。

では、便の色について
どうしてそうした便が出るのかを
詳しくみていきたいと思います。

 

黄色っぽい便は健康の証明

 

ズバリ、健康な便の色は黄褐色です。
あるいは、黄土色という方が分かりやすいかもしれません。
便が黄色っぽければ、胆汁が正常に分泌されて
その後のプロセスでも、血液などの別の色のものが
混ざらなかったという証になります。
便秘の場合や長時間トイレに行けなかった場合は
便が黒みがかっていきます。
これは便中のビリルビンが酸化して黒っぽくなるからです。
例えば、健康で長い棒のような便が出た場合は
そのすべてが同じ色ではないはずです。
先に出たほうはやや黒ずんでいて、
後に出た方が黄色みを帯びているのではないでしょうか。
これは大腸内での滞留時間と関係しています。
先に出た部分が滞留時間が長い分だけ黒みがあって
後に出た部分が新鮮なので黄褐色になるというわけです。

 

赤い便は“痔”か“大腸がん”

 

赤い場合の多くは出血です。
痔か大腸がんが考えられます。
赤い色は鮮血なので、出口である肛門近くで
出血した新しい血です。
そのほとんどの場合は痔ですが、
大腸の下部、肛門近くの大腸がんの可能性も
考える必要があります。

痔には大きく分けて三種類があります。
「切れ痔」といわれる裂肛(れっこう)、
「いぼ痔」といわれる痔核、
「穴痔」といわれる痔瘻(じろう)です。

裂肛は便秘による硬い便や拭きすぎにより
肛門の皮膚を傷めて出血します。
痔核は、肛門の内側にできる内痔核と
外側にできる外痔核があります。
外痔核は痛みがありますが出血はしません。
内痔核は痛みはほとんどありませんが
排泄時に出血をします。
排泄時に便器に鮮血が飛び散って驚愕する場合も
少なくはありません。
痔瘻は、大便と肛門の境目の
肛門しょうかという溝に下痢の便がのこり
細菌感染を起こして化膿する病気です。
膿は出ますが、出血するケースは少ないようです。

痔によって出血して便が赤い場合、
便の表面に赤い血が付着していることが
ほとんどということになります。
ですが、そうした状態ではなく
血液の血がマーブルのように混じっていたら
大腸がんの心配があります。

ただし、前日に食べた食事がカレーの場合
またニンジンの原形が排泄される場合
ご心配ありません。

 

黒い便は、便秘か大腸がん

 

黒い便の原因として最も多いのは
頑固な便秘ではないでしょうか。
腸内に便が長時間滞在すると
本来排泄されるべきものが
再び血液に乗って全身に回ってしまいます。
もちろんお肌にも影響は出ます。

腸内細菌は生きていますので、
生きるためにエネルギーが必要です。
そこでまずは腸内の栄養素を分解していきます。
栄養素がなくなる、またはない場合は、
アミノ酸の一種であるトリプトファンの分解により
尿毒素を作り出してしまうような腸内細菌もいるので
腸内環境は悪化してしまいます。
それらの悪玉代謝物質がまた大腸から吸収され
血液に乗って全身を回るわけです。
便秘は百害あって一利なしです。
食生活を見直して腸内環境を早く改善するべきです。

便が何時もの便秘よりも黒い場合や
便秘の時と違う黒さの場合は、
大腸がんによる出の心配もあります。
大腸に腫瘍があると便が通るときに
こすれて出血します。
その出血が便に混ざって排泄されるケースが
多いようです。
大腸の下部なら赤いままですが、
腫瘍が上部にある場合は、
便が長く滞留しているので
血液が酸化して黒ずむわけです。

腸の上部に問題がある場合、
便が出血部を通過してから
排泄までに時間を要するため
黒さが増していきます。
大腸がんにはよく
“タール状の便”という表現がありますが
タールのような黒さの場合は特に注意が必要です。

 

緑色の便は、胆汁酸の酸化

 

緑色の便が出た場合は、
肝臓になにか問題が起きている
可能性があります。
食べ物が十二指腸を通過するときに
肝臓から胆汁が分泌されていて
その中のビリルビンという色素が
消化物を便の色にしていますが、
何かの理由で腸での胆汁の再吸収が
妨げられてしまうと、結果として
便中のビリルビン量が多くなります。
ビリルビンは酸化されると
緑色になりますので、それが便を
緑色にカラーリングしているのです。

緑色の便は、よく乳幼児に見られますが
それはミルクが原因と考えられています。
大人の場合は、暴飲暴食や刺激物の食べすぎで
緑色になることがあります。
胆汁が腸でうまく再吸収されないと
滞留時間が長くなり、酸化が進みます。
もし緑色の便が続くようなら注意が必要です。


いかがでしたでしょうか?

便は、
“毎日出ていれば良い”
というようなものでも無さそうですね。

前日に食べるお食事内容とも併せて
毎日の便の様子を確認していただく際の
ご参考にしてみてくださいね♪

(参考資料:おなかの調子がよくなる本)

腸内フローラ研究の最先端テクノロジー。

皆さんは、
便の正体をご存知でしょうか?

まずは水分ですが、
その水分の割合は人それぞれで、
体調によっても変わって来ます。

便秘の人は水分が少なく、
下痢の人は当然、
水分量は多くなります。

水分以外の部分は、
その半分ほどが腸内細菌で、
残りの半分が食物繊維を初めとする
消化されなかった食べ物です。

今、私たちが目にしている
便のかなりの部分は、
腸内細菌なのです。

その腸内細菌の
およそ3分の2が死骸で、
残りはまだ生きている状態で
あることも分かって来ました。

便には、
生活習慣の情報や、
消化器系を初め内臓のコンディション、
感染症の発症の兆し、
将来、罹患する恐れのある病気など、
情報がたっぷりと詰まっています。

実は、
体の健康状態や病気のリスクは、
便を調べれば分かるのです。

腸内フローラの研究

腸内フローラの研究は
2004年頃から急速に進みました。

それは、
世界的に行われていた
「ヒトゲノム計画」という、
人間の持つヒト染色体の遺伝子情報を
全て解読して、どこに何が記されているかを
明らかにしようという世界的な
ビッグプロジェクトがあり、

1991年より、
日本アメリカ、イギリス、フランス、
ドイツ、中国の6カ国20研究センターの協力で
ヒトゲノム解読が進められ、
2003年に解読完了が宣言されてから、
プロジェクトに参加していた
一部の研究者らが、次の研究分野として
腸内フローラの遺伝子に着目したからです。

そこから、
今の腸内細菌の研究では、
技術的にも手法的にも、
従来の腸内フローラ研究とは違う
最先端のテクノロジーを用いたアプローチで、
微生物を調べられるようになりました。

そして2006年頃から、
その研究成果が現れて来たのです。

研究の最先端テクノロジー

ヒトゲノム解析に使われていた
『DNAシーケンサー』をさらに改良して
『次世代シーケンサー』と呼ばれる
最先端分析装置が、
腸内フローラを研究するフィールドで
使われ始めました。

この装置を使って、
便から採取した腸内フローラ遺伝子を
網羅的に調べることによって
(これをメタゲノム解析と言います)
腸内にどんな細菌がいるかを
詳しく調べられるようになりました。

それともう一つ、
メタボローム解析技術の本格化が、
腸内細菌の研究に拍車をかけました。

メタボローム解析とは、
『核磁気共鳴装置』や
『質量分析計』を用いることで、
血液一滴や数mgのサンプルから、
アミノ酸や有機酸などを含む、
数百個の代謝物質の濃度情報を
一度に算出できる最先端テクノロジーです。

このメタボローム解析で、
便を分析することで、
腸内フローラの代謝物を
網羅的に調べられるようになったのです。

次世代シーケンサーを用いた
メタゲノム解析によって、
腸内フローラの遺伝子を
網羅的に調べることで、
どのような腸内細菌が
お腹の中にいるのかを知ることができ、
さらにメタボローム解析で、
腸内フローラの代謝物質を調べることで、
はじめて腸内フローラの本当の機能、
どの腸内細菌が何を作り出しているかが
分かるようになったのです。

腸内にどんな細菌がいて、
どのようにふるまい、
どのような物質を作るのかを
知ることができれば、
その結果を元に、
ひとりひとりがどんな病気を警戒し、
病気を発症させないために必要な
食生活や生活習慣を、より具体的に
提案できるのです。

これまでお話ししてきた野菜ですが
朝摘み野菜をメタボローム解析で
検証することで、朝の野菜は
日を浴びて光合成することで、
光を利用して代謝を始め、
糖質やアミノ酸と呼ばれる、
ヒトが美味しいと感じる栄養素が
溜まっている状態になることも
分かるようになりました。

ですから野菜は、
朝の光合成をすることがとても必要で、
生きているうちに召し上がることが
最も良いということも
最先端の技術で証明されたんですね。

科学的な証明

こうして、
これまで人類の知恵や経験で、
良いと分かっていたことが、
科学的にも実証され始めています。

2011年に
国立研究開発法人理化学研究所では、
メタゲノム解析および
メタボローム解析を用いて、

ビフィズス菌による
腸管出血性大腸炎O157感染予防の
分子機構を世界に先駆けて明らかにし、
世界的にも権威ある学術誌
『ネイチャー』で発表しました。

O157感染症に対して
予防効果のあるビフィズス菌が
研究によって見つかったのです。

そのビフィズス菌は、
腸内で食物繊維の発酵代謝の結果として、
たくさんの酢酸を作ることが
メタボローム解析により
分かりました。

この酢酸が
腸管上皮細胞のバリア機能を高めることで、
O157感染症を予防できることも
マウス実験で突き止めました。

また2013年に、
腸内フローラを構成する
主要な微生物グループのひとつ、
クロストリジウム目細菌群が、
食物繊維の発酵代謝により
たくさんの酪酸(非常に臭い)を作ることも
メタボローム解析で明らかにしました。

この酪酸には
大腸炎を抑制する免疫細胞の分化を
誘導する働きもあることが分かり、
こちらもネイチャー誌で発表されました。

腸内細菌との共生を大切に。

私たちの体の中では、
この37兆個の細胞
(現在ではヒトの体の細胞は
60兆個ではなく、37兆個とされています。)と、
100兆個の腸内細菌が
密接に相互作用してバランスを保ち、
その生命活動を維持しています。

ですから、
腸内フローラとうまく共存し、
腸内細菌と共生できる人は、
健康で平和な暮らしを手に入れられると
言えます。

腸内フローラのバランスは、
自身でマネジメントして、
腸内デザインをすることによって、
心身の健康を維持できるような時代が、
すでに訪れているのです。

大切なことはいつだってシンプル。

どうぞ今をたいせつに。

 

(代表的な参考資料:消化管(おなか)は泣いています、リンパの科学、ミトコンドリアミステリー、現代免疫物語「免疫が挑むがんと難病」、腸のふしぎ、考える血管、おなかの調子がよくなる本、腸内細菌と共に生きる、たんぱく質入門、脳が蘇る断食力、脳と心のしくみ、思考のちから、他)